2021/06/06  
iFi micro iDSD Diabloの話

micro iDSD Diablo このヘッドホンアンプは内部見て多分音良いだろうなと思っていて、前から欲しいと思っていたのですが、今までは「(エージング用になっているけど)HD120もあるし、そのうち安くなった時にでも買おうかな?」と思っていました。ところが先日値上げの発表があり、2021/07/01で115,500円から151,800円に値上げされるとのこと。まさに悪魔的な値上がり! Diabloだけに。背景は半導体不足によるコスト増だそうで、だったら当分は下がりそうにないですし、新型機が出ても割高な価格設定になってしまうでしょう。と言うわけで値上がりする前に即座に確保することにしました。


さて、その音。
接続は光デジタル入力を使用。まだ3時間くらいしか鳴らしていませんが、初めからかなり良い音です。私の改造DR.DAC3と互角レベルの音が出ています。
傾向はニュートラルだがややパワー感や押し出し感のある音と言ったところでしょうか。あとかカドが少し丸まった感じの音ですね。ソフトと言う感じではないです。この癖はもう少し抑えてほしいところですが、変に音痩せしないところは好印象です。解像度はPMA-60の+300段程上。奥行きはHD650使用時で26mってところ。
改造DR.DAC3は、解像度はPMA-60の+300段程上。奥行きはHD650使用時で32mと言う評価で、解像度は改造DR.DAC3と互角。奥行きはやや下回ると言ったところでしょうか。ですが音色は改造DR.DAC3よりも良く、聴いてて楽しいのはiDSD Diabloの方ですね。HD650がとても音楽的に鳴っています。
現状HD120と比べるとHD120の方がよりニュートラルで開放感のある爽やかな音を出します。そしてHD120の方がより高解像で奥行きも上です。ですが、音楽性では全然負けていない。現状ではiDSD DiabloはHD120に少し負けているかなと言った印象なのですが、音出し3時間の印象なので、エージングが進むとHD120と互角または上回る音質が出る可能性は十分あると思います。

エージングが進んだら何か書き足そうと思いますが、現状の音で評価してもmicro iDSD Diabloのコストパフォーマンスはとても良いと思います。DR.DAC3の3倍の値段がしますが、音は3倍以上良い。もしiDSD Diabloが気になっている方がいるなら値上げ前に早急に確保した方が良いでしょう。






  ※追記_20210908_1920時間エージング


iDSD Diabloも1920時間ほど鳴らし込んだのでそろそろ追記のレビューでも書いてみようと思います。HD120はエージングにかなり時間がかかったのでiDSD Diabloも念のため1000時間以上鳴らしました。


試聴にはHD650,HPT-700,nighthawk carbonを使用しました。これらはバーンインノイズを流してないので音質も一般的なレベルといって良いでしょう。

ATOLL HD120と比べると、全体としてHD120の方がやや音質は上かなと言う印象で、HD120は解像度はPMA-60の+360段程上。奥行きはHD650使用時で44mってところなのですが、iDSD Diabloは解像度はPMA-60の+340段程上。奥行きはHD650使用時で32mってところ。HD120はiDSD Diabloの解像度0.6割増し、奥行き1.375倍と言ったところだろう。iDSD Diabloは奥行きがちょっと悪いけど、解像度はそんなに大きな差はないし、音楽性で負けてないからサイズを考えたら十分かなと思っている。 HD120とiDSD Diabloとの大きな違いは、音のキャラクターですね。HD120は素直でニュートラル。iDSD Diabloは厚みがありパワフル。むしろ「電源や筐体サイスで圧倒的に有利なのに、この程度の差しかないのか」と言う程度の差しかないのでiDSD Diabloはとても優秀なのだと思います。HD650をよりクリアに、力強く、音楽的に鳴らしてくれます。
(ちなみに上記のレビューはシングル接続のものです。バランス接続はまだ試していないので。)


また、HD120やiDSD Diabloで鳴らしていると、nighthawk carbonもHD650もHPT-700も似たような音に収斂していきます。よりクリアに原音のイメージに近しい音が出るようになると言った感じです。もちろん機種ごとの差は存在しますが、PMA-60で鳴らした時のような差はありません。PMA-60の方がヘッドホンの音質差がはっきり出ると言う感じ。
恐らく「PMA-60で鳴らしている時はヘッドホンだけで音質を稼いでいる状態」そして「HD120やiDSD Diabloで鳴らしている時はヘッドホンだけでなくアンプでも音質を稼いでいる状態」で、ヘッドホンで音質を稼ごうが、アンプで音質を稼ごうが、音質が上がると言うことは原音に近づくと言うことですから、原音のイメージに近しい音に収斂していくのは当然なのでしょう。

そして、原音のイメージに近づいていくと何が良いかと言うと、「機械の存在を忘れて音楽に没頭できる」ようになると言うことです。厳密には機械の癖が消滅したわけではないのですが、機械の癖よりも音楽に意識がいく音質レベルには到達していると言うことです。疑似的ですが「音楽だけがただ存在している」と言う状態になります。逆に言うと「このヘッドホンは〜」と言うことが頭によぎった段階で、全然駄目。そのレベルには達していないと言うことです。

ただ、iDSD Diabloで鳴らしてもnighthawk carbon,HD650,HPT-700では「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベル」には少し及ばない感じ。この中ではnighthawk carbonが一番優秀で、「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベル」まであと1歩、HD650であと2歩、HPT-700があと3歩と言う感じです。HPT-700が一番下なのは、HD650よりもクリアで高解像ではあるものの音の濁りと歪感が気になったからです。。。(ん?これはアンプでヘッドホンの評価が逆転したってことか・・・ならHD600のとこで書いたことは撤回しておこう。)
iDSD Diabloで鳴らしても「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」を鳴らせないのか、じゃあ大したことないじゃんと思われるかもしれませんが、「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」が視界に入るレベルの音を出せるならとても優秀だと思います。PMA-60ではそんな音を意識させる音すら出ませんから。
それにnighthawk carbonより優れたヘッドホンなら多分出せるのではないかと思います。だが、たった一歩ではあるが、そのあと一歩が非常に難しい。一歩は一歩でも月に降り立つ一歩くらい難しい。「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」とそうでない音は、空を飛んだか飛んでないかくらいの差があるので、「あと一歩だから大差ないだろ。もういいじゃん」と言うわけにもいきません。「もう少しで空を飛べそうだ!」では意味がないからね。
上で「nighthawk carbonより優れたヘッドホンなら多分そういう音を出せる」と書いたけど、ちょっと音が良い程度ではなくて、nighthawk carbonよりも2倍、もしくはHPT-700よりも3倍音が良いと感じられるようなヘッドホンで違和感のない音色であるならギリ行けるんじゃね?それでも運が良くないと到達させられないだろうなぁ。と言う感じです。

 それに今はバーンインノイズで「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」を出すことを目指しているのですが、あと0.5歩とか0.3歩とかそういうレベルには行くのですが、「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」にはなかなかならないです。評価アンプがPMA-60だからっていうのもあるけど、PMA-60でその音質を達成できたのはnightowl carbonだけでした。SRH1540もHD600もDT880E/600も軒並み達成できていません。今まで以上にノイズを改善すればできるのかもしれないけど、現状では出来ると言うイメージがわかない。それくらい難しいです。
SRH1540,HD600,DT880E/600に関してはiDSD Diabloでも再生してみましたが、バーンインノイズで音質を引き上げていても「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」を達成することが出来ませんでした。これらのヘッドホンは癖の強いヘッドホンで、バーンインノイズでも癖を完璧に取ることが出来ないことが原因でしょう。どうしても「このヘッドホンは〜」と意識してしまうような癖が残ってしまいます。iDSD Diabloを使うことで音色や解像度は向上しますし、よりイマーシブな音に近づくのですが、「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」まであと1歩、0.5歩、0.3歩と近づいてもその壁を突破するのは相当に難しいです。むしろPMA-60でイマーシブな音を達成できるnightowl carbonすごくね?
何にしてもiDSD Diabloがイマーシブな音を出す一助になるのは間違いないです。ただし、そういう音を出すにはヘッドホンを選ぶ必要はあるでしょう。しかも相当ハイポテンシャルである必要があります。


HD120とiDSD Diablo。どちらも音質は良いのですが、ではどちらがお勧めか?と言われたら、HD120の方が僅かながら音質が優れていても、iDSD Diabloの方がお勧めです。なぜならHD120にはいくらか欠点があるからです。


HD120の欠点
・エージングに最低でも1000時間以上かかる。
 しかもエージング前はそんなに音が良くない。解像度が高いだけで音は痩せてるし、硬いし、音楽的じゃない。しかも音楽的に鳴りはじめるのは1000時間を超えてから。また1000時間を超えても、音の芯が弱かったりちょっと音質が安定しないところがありました。今は問題ありませんけど。人に勧めたら、たぶんガッカリすることになるんじゃないかと思う。そこ行くとiDSD Diabloは初めから良い音が出て音質が安定している印象です。多分HD120よりも良い部品使っているのでしょうね。

・残留ノイズが多め。
nighthawk carbonなど大型ヘッドホンなら問題ないのですが、ER4SRやEPT-700では微小なノイズを聴知できます。これはジャックを抜き差しして比べないと分からない程度なのですが、ER4SRやEPT-700よりも低インピーダンス高感度のイヤホンなら残留ノイズはかなり気になると思われます。このアンプは大型のヘッドホン用でイヤホン用途には向かない感じです。と言うよりはパワーアンプと組み合わせてスピーカーを鳴らし、ヘッドホンはサブとして大型のヘッドホンを使うという使用イメージでしょうか。


以上の理由からHD120とiDSD Diabloのどちらがお勧めか?と言われたらヘッドホンアンプとしてならiDSD Diabloの方がお勧めとなります。



ちなみにiDSD Diabloはボリュームであれこれ言われていますが、個人的には問題ありませんでした。このアンプは無負荷状態でECOモードで2.03Vrms, normalモードで5.47Vrms, turboモードで11.30Vrmsの出力があり、2.03Vrmsと言うのは正直そんなに高くないと思います。DR.DAC3のport1は公称3.53Vrmsありますし、それより低いわけで、ヘッドホンアンプとして見たら出力はかなり低いです。ボリュームも9時スタートで10時くらいまでがギャングエラー領域なので、アナログの可変抵抗ならこんなもんだろうと言う範囲に収まっています。巷には「パワーがあり過ぎてギャングエラーがひどい」と言う意見がありますが、パワーがあり過ぎてと言うのは間違いです。冷静に考えて2Vrmsはそんなに高くない。ギャングエラーも許容すべき範囲には収まっているでしょう。 それでも文句が出ると言うことは小音量で聴いている人が結構いるってことでしょうね。そのあたりを考慮すれば思い切ってシングルで0.5Vrms、バランスで1Vrmsでもよかったのかもしれません。でも音質ではturboモードが一番良く、ECOモードは一番良くないので、音質を考えるとあまり電圧を落としたくないと言う事情があったのかもしれません。
私はもし問題が出てもPC側でボリューム弄れば良いと思っていたのですが、実際に使ってみて「え?エコモードの出力2Vrmsしかないの?ギャングエラーも10時近くまであるって聞いてたけどボリュームがスイッチ式で9時スタートだから実質的には大したことないじゃん」と思ってしまいました。



総じて言うと
 パワフルでクリア。そして音楽的。聴いてて楽しい音。「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」ではないが、そういった世界が視界に入ってくるレベルの音ではある。
ではiDSD Diabloは買いかどうか?これは買いです。コスパについては15万でも高くはないとは思うけど、11万5000円で売ってたことを考えると、多くの人は納得できないでしょう。そういう人は中古を買えば良いかもね。

 仮定の話で、もし私がiDSD Diabloを買っていなかったとして、値上げされた今のラインナップで、iDSD Diabloを選ぶか?と言われたら、それでも選ぶと思います。
と言うのは他に選択肢がないからです。他社の製品を見渡しても見当たらないようでした。。。正確にはなくはないのですが、気に入らないってところが多かれ少なかれあって、iDSD Diabloほど自分の要求を満たしているものはなかったと言うことです。

 私はバランス出力は必要としてないのですが、iFi micro iDSD Signatureは据え置きとして使う場合、電源端子が横からせり出してて非常に不格好です。あとはバスブーストだのクロスフィードなど余計な回路が付いています。これも嫌いなところです。機能を切っても、回路に部品が隣接しているだけで音質に影響を与えるので、こういった使わない機能は回路ごとカットしたほうが、コストも音質も良くなると思うのですがね。あとはACアダプターが付属してないので据え置きで使うなら買い増す必要があります。そう考えると思ったより安くない気がしてきます。

ではiFi NEO iDSDはどうでしょうか?デザインがサイバーチックなデザインなのですが、荒削りすぎてもっと洗練させてほしい。そこは目をつぶるとして、出力が全然足りない。シングルで3.3Vはエージング用としては全く使えない出力です。これではほとんどのヘッドホンでmaxmum imputで鳴らすことができません。これで十分なのはイヤホンくらいでしょうか。もちろんエージング用として使わなければ良いわけですし、普通に使う分には問題ない出力ではありますが、出来ないよりはできる方が良いと言うわけです。

と言うわけで自分の要望やスペックを満たしているのがiDSD Diabloしかないので、値上げされていたとしてもiDSD Diabloを選ぶでしょう。













※追記
上で「何にしてもiDSD Diabloがイマーシブな音を出す一助になるのは間違いないです。」と書いたのですが、普段バーンインノイズのテストに使っているnightowl carbonで聴いてみて考えが変わったので少し追記しておきます。

上のレビューで「何にしてもiDSD Diabloがイマーシブな音を出す一助になるのは間違いないです。ただし、そういう音を出すにはヘッドホンを選ぶ必要はあるでしょう。しかも相当ハイポテンシャルである必要があります。」と書いたのですが、この段階ではnightowl carbonで確認していなかったので、PMA-60よりも容易にイマーシブな音を達成するだろうと思っていました。なんせ表現力と解像度はPMA-60よりも優位にあるのですから・・・ところが実際に聴いてみると結果は違っていました。
結論を言うとnightowl carbonはPMA-60で「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」を出すことが出来たのですが、iDSD Diabloではそれが出来なくなってしまいました。iDSD Diabloの方がPMA-60よりも解像度も表現力も高いし、アンプとしての基礎能力が高いのはiDSD Diabloで間違いないのですが、しかしながらiDSD Diabloには若干作為的な癖があります。この癖が機械の存在を知らしめてしまうので、どうしても「機械の存在を忘れる」ことができないのです。

上のiDSD Diabloのレビューではnighthawk carbon,HD650,HPT-700,EPT-700を使用して評価したのですが、この時はiDSD Diabloの癖はあまり気になりませんでした。これらのヘッドホンはnightowl carbonと比べると音が濁りまくって癖の塊にしか聴こえないのですが、そこにiDSD Diabloの癖が入ってきたとしても、さして問題にならないと言うことです。仮にこれらのヘッドホンにニュートラルなアンプをあてがってもイマーシブな音には到底とどきませんから。人によってはニュートラルだからって何が良いの?って感じでしょうね。ところがnightowl carbonのようにギリ、イマーシブな音に突入できるレベルになると、iDSD Diabloの癖を「ちょっとこれは・・・」と思うようになります。ニュートラルな音なら機械の存在を隠せますが、iDSD Diabloのように個性的だと機械の存在を隠せないからです。


上ではiDSD Diabloを褒めてお勧めしちゃったけど、エクスキューズをつけておくと、
「曲に内包された奏者のテクニックの機微や楽器の音色の味わい。歌手の感情。そういったものをいかに多く取り出すか」を音楽性と定義するのなら、iDSD Diabloは間違いなく音楽性の高いアンプです。ですが、さらにその先にある「機械の存在を忘れて音楽に没頭できるレベルの音」をイマーシブな音と定義するなら、イマーシブな音にはあと少しでとどきません。正確にはnightowl carbonのようなギリ達成できるレベルのヘッドホンでは難しいのです。nightowl carbonよりも遥かに高性能なヘッドホンならもしかしたら可能かもしれませんが試してみないと分かりません。イマーシブな音を達成できない理由を考えると恐らく不可能と思いますが、その程度の差などものともしないほど圧倒的なものだったらあるいは・・・と言う考えが頭をよぎってしまいますね。だから絶対にできないとは言えないのです。ですが、もしあなたがイマーシブな音を目指したいのならばiDSD Diabloでなく、もっと癖の少ないアンプを選んだほうが良いでしょう。そのほうが容易に達成できるでしょうから。






  ※バランス接続について_20220327_追記


バランス接続について。今までバランス接続をしていなかったので、試しにバランス接続してみました。ヘッドホンはHD650,ケーブルはHD650標準ケーブルにバランスプラグを付けたもの。
ちなみにDiabloは去年修理から返ってきて、今初めて箱開けたので、まだエージングが済んでいません。修理と言っても本体交換とのことだったので。開けてみたら送り返した付属品も開けた形跡が無くなっているし、ACアダプターもiPowerからiPower2に変わっているので、本体だけでなく、セットごと交換になっているようです。
とりあえず、HD650のシングルエンドで聴いていますが、アダプターがiPower2になっているせいか以前より音が良くなっている気がします。以前は未エージング状態だとHD120より結構下の音だったけど、今聞いたらあまり変わらない感じです。そして以前ここがダメだと叩いていたDiablo特有のパワフルに聴こえる癖。これがほとんど感じられません。HD120ほどではないけど、ほぼニュートラルと言って良いレベル。まぁまともな音になったと言う感じですね。ネット上では故障したとか不具合情報が多かったのですが、本体側にも何か仕様変更があったのでしょうか? もしそうなら対策されたってことなので嬉しいのですが。
それから未エージングでも良い音出すのはさすがですね。HD120やConductor V2+ではこうはいきません。これは再生品の可能性もあるけど、見た目は完全に新品なんだよね。

なんか前より音が良くなった気がするので、HD650を鳴らしきれるかどうか確かめてみました。方法はConductor V2+の時と同じでHPT-700との比較法です。シングルエンドでの比較です。


うなホン「さぁて、全国のHD650信者の皆さんが気になるのがiDSD DiabloがHD650を鳴らしきれるのかどうかですよね〜♪ 鳴らしきれるのかな? 鳴らしきれないのかな?」

うなホン「テッテレー♪ 鳴らしきれてます! 合格です! 100点」


以前は音色でHPT-700を凌いでいるが解像度は負けていると言う感じでしたが、今回は音色はHPT-700を凌いでいて解像度は互角と言う感じです。トータルではHPT-700より良い音で鳴っています。ギリ鳴らしきれているといって良いでしょう。Conductor V2+の「HD650を鳴らしきる」度を100点とすると、90点と言うところでしょうか。


 シングルでの音質は大体わかったので、今度はバランスにしてみました。ケーブルは条件を揃えるためにHD650標準ケーブルにバランスプラグを付けたもの。
第一印象は超高SN。モヤ感が無くなってスッキリする。もはやHD650の音じゃない。このクッキリ感はConductor V2+で鳴らした時の印象に近い。Conductor V2+はバーンインノイズの鳴らし込み用に使用中なので、実際には比べていませんが解像度的には多分Conductor V2+と互角かちょい上くらいかも? いや、感覚的にバランスにすると解像度がシングルの1.5倍くらいに上がる感じなので、Diabloの1.4倍の解像度と評価しているConductor V2+ではDiabloのバランスには勝てないでしょう。しかも交換後のDiabloの音質は以前より上がっているのだから、さらに差が開いていると考えて良いでしょう。
ただし、音色が若干低下することが確認できます。僅かに感情が失われ色彩感も悪くなります。部品をより多く通過するので仕方がないのかもしれませんが、シングルから切り替えた直後は、「あ・・・悪くなったなー」と感じるのですが、ずっと聞いていると気にならなくなってきます。なので音色が壊滅的に悪くなるとかそういうことはないです。それよりも解像度と音像定位は格段に良くなるのでそれで聞かせる感じ。
 あとシングルと比べて奥行きは36mから25mに減退しますが、これは音像の立体感を増した結果で、実在感は確実に上がっています。この25mと言うのはある種のカンスト値に近いレベルです。例えばバーンインノイズを流しているnightowl carbonは奥行き24+-3mくらいで固定されてしまっています。アンプがPMA-60だろうとiDSD DiabloだろうとHD120だろうと奥行き24m固定となります。音質が一定レベル以上になると音源の情報を正確に再現するのに徹するのか奥行き感に差は出なくなってくるようです。これは同じくバーンインノイズを流しているDT880E/600やER4SR,AH-C820,SRH1540,HD600なども同じ24m固定です。よくよく考えると原音忠実再生の観点で言えば奥行き感に差が出てくる方がおかしいですしね。頂点は一つで、音質を追及すればその頂点に向かって収斂していくはずですから。
HD650はバーンインノイズ流してないのにこの領域の音が出ているのに驚いています。奥行きの数字上はConductor V2+に負けていても、Diabloのバランスの方が定位が強烈で、より立体的な音像と実在感のある音が出る。この点においてはConductor V2+で鳴らした場合より確実に良いといって良い。ただ音色は恐らくConductor V2+に負けているでしょう。試聴が終わってHD120に切り替えたらやっぱりHD120の方が音色良いなと思ったので。

ぱっと聴いた印象ではバランス化は音色が低下するデメリットはあるのですが、Diabloの場合、倍の部品を通していることから想像するよりも遥かに少ない低下でしかありません。部品だけでなく+-の配線の対称性が取れてる点も効いているのでしょう。このあたりはアンプの設計でかなり差が出そうですが・・・Diabloに関しては音色の低下はずっと聞いていると気にならなくなるレベルで、もしずっと気になるような音色の低下ならボコボコに叩いたと思いますが、解像度はシングル比約1.5倍で、定位はカンストレベルまで向上するなら、HD650でバランス化するのはありだと思います。デメリットよりもメリットの方が大きいと言う印象です。

まだ未エージングなので、エージングが済んだらまた書き足します。






2021/06/06 執筆    
2021/06/06 公開    
2021/09/16 追記